友人の死
数日前のことです。
なにげなくTVを観ていると、あるニュースが流れました。
37才の息子が母親をダンベルで殴り殺した!!
数時間後に近隣の町で息子の身柄確保!!
このニュースが流れた時も
またか・・・日本も終わったな・・・
そんな気持ちで聞き流していました。
残念ながら今の日本では、
毎日のように起きる尊属殺人の事件です。
その日の夜
介護の学校 のクラスメート達からメールが届きました。
殺されたお母さんは、介護学校のクラスメートだったのです。
みんなとても仲良しで、卒業してからも
数ヶ月に一度はクラス会をやっていました。
事件のあった、数日前にもクラス会を開き
元気な彼女の笑顔を見たばかりでした。
とても理解できる話ではなかったのですが
何度も流れるニュースをみて
彼女の写真が映し出された時、現実の事なのだと諦めました。
最年長の彼女でしたが
クラス会には遠路はるばる、必ず出席してくれました。
いつも笑顔の彼女はムードメーカー的存在でした。
誰からも好かれる人でした。
納得のいかないクラスメートの死を、神父さまに話しました。
『 精神病院に入院している人は、
本人の意思で病気になったわけではありません.
その人の家族は、それでも大切な家族だと愛しています。
だから、私達も精神病の彼等を差別してはいけません 』
神父様はこんな話をしてくれました。
しかし、私は神父様の話を理解するどころか
内心腹が立ちました。
じゃあ、殺されてしまった人の未来は?
残された人達の心は?
この夜、ダンナさんに飲みに誘われました。
普段の私なら、飲み歩く事は嫌いなので断っていましたが
この日ばかりは、誘いに乗りました。
きっと、ウサ晴らしをしようと思う心が働いたのだと思います。
案の定、酔っ払いになった私はダンナさんに絡みました。
亡くなった友人がどんなに素晴らしい人だったかという事。
最後のクラス会で、彼女が息子の事をこぼした時
もっと真剣に考えてあげれば
こんな結果にはならなかったのではという後悔の気持ち。
神父様の話に納得がいかない事。
くどくどと、しつこくしつこく、ダンナさんに喋りまくりました。
だまって私の話を聞いてくれたダンナさんが
最後に、ひとこと言いました。
『 じゃあ、オマエが息子に殺されたらどう思う? 』
『 ・・・・・きっと他の人でなくて、私で良かったと思う・・・・・ 』
『 やっぱり、そうだろう。オマエの友達もそう思っているよ 』
私は涙が止まりませんでした。
酔ったせいもあるかもしれませんが
この時、神父様の心もやっと理解できたのです。
亡くなった友人も、きっと
いつもの、あの満面の笑顔で天国へ旅立って行ったと思います。