魔女か?妖精か?
私の勤務する施設では
頭がクリア(認知症ではない)なお年寄りも、
かなりの割合で入居しています。
年齢は90歳を過ぎた、とてもしっかりしたおばあちゃんがいます。
彼女は、足が悪いため自力でトイレまで歩くのが困難なのですが
忙しい私達に気を使って、ナースコールを殆ど押しません。
日中は、スタッフが数人いるため
彼女がベッドから立ち上がると気がついてあげる事ができるのですが
夜間は、夜勤者が当直室にいるため
彼女のベッドの足元にセンサーマットを敷きます。
プライドの高い彼女にはその事は告げていません。
私の夜間勤務の時
彼女は、夜中に3回トイレに起きました。
最初のコールが鳴った時
私はさりげなく彼女の部屋へ入っていきました。
『 ○○さん、手伝わせてくださいね 』
『 ありがとう、助かるよ。それにしても丁度いい時に来てくれたね 』
『 ホントだね~ 』
2度目のコールの時
『 ○○さん、また手伝わせてくださいね 』
おばあちゃんは、ちょっと疑った顔で私を見ながら
『 まったく不思議だね。
私がトイレに行こうとしているのがわかるみたいだね 』
『 たまたま見回りに来たら、
○○さんの部屋から明かりが漏れていたから
トイレかなって思っただけだよ 』
『 それだけかね・・・、なんだか魔法みたいだね 』
『 あはは 』
3回目のコールが鳴った時
『 ○○さん、私、またまたグッドタイミングだね 』
おばあちゃんは、呆れたような顔をして
そのまま無言のままで用を足しました。
ベッドに誘導すると、隣に座ってと言われました。
『 どうしたの?』
『 この年齢になるまで、いろんな経験をしたし
いろんな人に出会ったけど
この世には、本当に魔法使いがいたんだね 』
『 ・・・エヘヘ、この事は誰にも内緒だよ 』
『 わかったよ 』
このおばあちゃんは、私が受け持つユニットではなく
隣のユニットに入居しています。
そのため、日中は顔を会わせる事は無いのですが
その数日後、隣のユニットに用事があり行きました。
おばあちゃんは、朝食を取るためテーブルに座っていました。
『 ○○さん、おはようございます!! 』
『 おはよう 』
と言いながら、
あの事は誰にも言わないからね
とでも言いたげな顔でウィンクしてくれました。
この可愛いおばあちゃんとの話をエセルに教えました。
エセルからの返事には
I read your letter and I was laughing
because of the funny story you shared.
But definitely, you don't look like a witch but a fairy!!!!
お世辞だとわかっていながらも
妖精という言葉に有頂天になっているアタシ
にゃはは~