実習の話
フィリピンの話ではないのですが・・・
介護の勉強中の私は、先週まで実習に行ってきました。
実習先は、介護老人です。
大多数が、認知症のお年寄りです。
その中で、とても印象深いおばあちゃんがいました。
とても体が大きく、初対面の時はおじいちゃんかと思ったほどです。
このおばあちゃん、入浴と車椅子の移乗がとにかく嫌いでした。
たぶん、入浴が嫌いな理由は特殊入浴だからです。
寝台に寝かされベルトで体を固定され
そのまま下から浴槽がせり上がってくるので
もし自分が特殊入浴と思うと、やっぱり怖いです。
車椅子移乗は、とても痛がるのです。
車椅子と入浴の時は、大暴れをします。
職員さんを引っ叩いたり、噛み付いたり、引っかいたり
それはそれは、ハンパな暴れ方ではないのです
ですから、職員の方は本気で怒鳴ったりしている人もいました。
でもこのおばあちゃん、私がお風呂に入れる介助をした時も
怒鳴りまくって半狂乱になるけど、私にだけは何もしないのです。
実習生だから、気を使ってくれたのだと思います。
顔が合えば「良かった、良かった」と笑ってくれます。
(何が良かったのかは解りません)
実習最終日、ひとりひとりに挨拶をしてまわりました。
『 お世話になったね、ありがとう 』 とか
『 これからも元気で頑張るんだよ 』 と、反対に励まされました。
先に述べた凶暴なおばあちゃんのベットへも行きました。
『 ○○さん、私、今日で実習終わりなんだよ 』
『 そうか、寂しいな。でも、アンタに会えて良かった、良かった 』
『 これからは、お風呂に入る時、職員さんを叩いたらダメだよ 』
『 おや、私そんな事してかたい 』
『 いつも大騒ぎしてたよ 』
『 良かった、良かった 』
私は、おばあちゃんに、ゴッドブレスユーをしたくなったのですが
相手は日本のおばあちゃんです、意味が解るはずもありません。
おばあちゃんの手を両手で握り締めて微笑みかけました。
これが精一杯のゴッドブレスユーです。
すると、おばあちゃんは握った私の手に頬ずりをしながら
『 大好きだよ、ずっと忘れないからね 』
と言ってくれたのです。
認知症のおばあちゃんだから、すぐに私の事は忘れてしまうでしょう。
それでも、このおばあちゃんとの数日間の思い出は
私の宝物になるに違いありません