神父さまのお話
フィリピンのルバング島で戦後30年間ジャングル暮らしをしていた
小野田さんの歯磨きについての話を聞きました。
ジャングルには歯ブラシも歯磨きも無いので
口に水を含み、ヤシの繊維で磨いていたそうです。
そして30年間、一度も歯を悪くした事はなく虫歯も1本もなかったそうです。
ところが帰国して10年間の間に歯槽膿漏のため
10本も歯が抜けてしまったのだそうです。
たぶんに年齢のせいもあるとしても、自然に逆らった食べ物のせいだと
歯医者さんは強調していたそうです。
文明社会から隔絶されたジャングルで、一度も悪くならなかった歯が
文明の世界に戻ったら、ガタガタの歯になってしまうというのは…。
人間の肉体も感覚も精神も
すべて含めて総合力で人間の力の度合いを測るとすれば
文明の世と、そうでない世界と
どちらが人間力は豊かになるのでしょうか?
現代文明は驚異的な便利さを人間に与えました。
しかしそれと引き換えに人間力を奪い取ってしまいました。
冷房システムの中で暑さ寒さに弱くなっただけではありません。
人間のぬくもりを感じる力
他の人の痛みや苦しみを感じる能力も失われていくようです。
文明社会の便利さは人間が獲得した一つの収穫だとしても
真の人間性の開花という意味での収穫と言えるのか
はなはだ疑問です。
不便さの持つ人間力養成の側面にも目を向けてみたいものです。
とても考えさせられました。