女子高生の涙
今から10年ほど前・・・
1人のガールスカウトが
夏休みを利用しボランティアを体験しました。
そこはフィリピンで南に位置するミンダナオの孤児院。
その時の体験談を仲間のスカウト達に話してくれました。
それまでの私と言えば・・・
フィリピンという国は熱帯で
マラリアなどの伝染病が蔓延していて
アキノ上院議員が暗殺され
クーデターが起きたりする物騒な国で
"小野田さん横田さんがジャングルから生還"という
幼少時代の記憶から
"ほとんどの国民は、裸同然でジャングルを駆け回っている"と
ものすごい勘違いというか…偏見というか…(^_^;)?
彼女の話は・・・
『そこの子供達は親に捨てられたり、親が亡くなって身寄りの無い子供達。
でも、みんな瞳がキラキラ輝いていて、人なつっこい笑顔で、
活き活きしていて
もっと一緒に遊びたかった。まだまだ帰ってきたくなかった。』
彼女は、こんな話を最高の笑顔で話してくれました。
話はこれでおしまいです!という雰囲気で間があいたのです。
すると一緒に話を聞いていた神父様が立ち上がり
ゆっくりと
『○○ちゃん、それで終わりではないでしょう?』と促しました。
彼女は一瞬ドキ!っとした顔をして、
その後、天井を見上げ
フゥ~という深呼吸をして、また話し始めました。
『私が帰る時、子供達はお菓子をプレゼントしてくれました。
とても少ないお小遣いを出し合って買ってくれたそうです。
本当は、自分で食べたいだろうに我慢して私にくれたんです。』
そう言った瞬間、彼女の目からは大粒の涙が・・・
その優しい涙は
次から次と溢れて出していました。
言葉では言い表せない感情を
どう表現していいのかわからない。
私には、そんな感じに見えたものです。
"あ~この子は、とても貴重な体験をしてきたのだ"
その場にいた大人は全員がそう思ったことでしょう。
普段おとなしく感情を表に出さないこの子の中で
どんな心の葛藤があったのでしょう。
私のフィリピンへの恋心は
この日、彼女の涙を見てから始まりました。